本の山 〜お薦めの本、山積みに〜

今日か明日、書店に行きたくなる書評

廃棄したはずの本に古本屋で再会

今週のお題「激レア体験」 人事異動を期に、自分で買って職場に置いていた売れなさそうな書籍をまとめて処分したことがある。悲しいが、時にはやむを得ない。書き込みをしたりして価値がなさそうなものを紐で縛り、ビルの地下にあるひんやりした集積場に運ん…

パフォーマンスを上げたい!その方法は?心理学の最新理論を使える知識として解説(【本の紹介】『実力発揮メソッド』(外山美樹著,講談社,2020年2月刊))

実力発揮メソッド パフォーマンスの心理学 (講談社選書メチエ)作者:外山 美樹発売日: 2020/02/12メディア: 単行本(ソフトカバー) 本書のタイトルは『実力発揮メソッド』。「自分には実力といえるほど凄い力,ないしな…」という引け目を誘発しそうだが,大…

【本の紹介】『あなたのことはそれほど』(作:いくえみ綾)ドラマ化もされ話題になりましたね

あなたのことはそれほど 1 (Feelコミックス)作者:いくえみ 綾発売日: 2012/11/08メディア: コミックヤング女性向けの漫画雑誌『FEEL YOUNG』に2010年から2017年まで不定期に連載された作品である。2017年にはドラマ化されている。一言でいえば,どろどろのW…

さようなら、小さな広場の喫煙所

東西に並ぶ古い商業ビルが,2階部分の通路でつながる。通路の南面には屋根がなく,幅20メートル程度の小さな広場になっている。このスペースは喫煙場所として使われてきた。3月中旬,年季の入った3台の灰皿に張り紙を見つけた。3月末で喫煙場所としての利用…

悩みを解決するのではなく消去する?エピクテトス先生,どういうことですか?【本の紹介】『奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業』(荻野弘之著,かおり&ゆかり[漫画 ])

奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業 ――この生きづらい世の中で「よく生きる」ために作者:荻野 弘之,かおり&ゆかり発売日: 2019/09/12メディア: 単行本(ソフトカバー) 生きているといろいろある。ローマ時代の哲学者エピクテトス(西暦50/60年頃~136年…

『太陽にほえろ!』番組プロデューサーによる貴重な証言。とにかく熱い。【本の紹介】『太陽にほえろ!伝説』(岡田晋吉著・ちくま文庫・2020年2月刊)

太陽にほえろ! 伝説 (ちくま文庫)作者:晋吉, 岡田発売日: 2020/02/11メディア: 文庫 『太陽にほえろ!』と聞くとあの乾いたテーマ曲が反射的に脳内再生されたあなた、同志と呼ばせていただこう。『太陽にほえろ!』は1972年7月から1986年11月までの14年5か月…

この本がインドネシア語学習のスタンダードになる予感(【書評】『ワークブックインドネシア語 第1巻』森山幹弘ら著)

ワークブック インドネシア語 第(1)巻作者:森山 幹弘,柏村 彰夫,稲垣 和也出版社/メーカー: 三元社発売日: 2018/04/20メディア: 単行本(ソフトカバー) 人口は世界第4位,歴史上も経済上も日本と関係の深い国インドネシア。しかしインドネシア語の語学書は…

「何ンともしれぬ妖しいときめき」を感じさせる若い日舞の踊り子の話(舟橋聖一著『顔師』)

顔師(かおし)とは、芸者衆や踊り子に化粧をほどこす職業。本作は、顔師の男が日本舞踊の名手お糸さんの思い出を語る短編小説である。昭和32年初出、全集・選集によく収録された作品でもあり、初めて舟橋作品を読む方にお薦め。 私が好きな場面がある。顔師…

1953年の児童書『みんなの世界』に込められた願いとは

みんなの世界 (岩波の子どもの本)作者:マンロー・リーフ出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1982/01/01メディア: 単行本 児童書にしてはやや無機質なタイトルと、落書きスレスレの脱力系イラスト。本書は民主主義のルールを、小学生の日常生活を引き合いに易…

女性美を兼ね備えた青年内科医が女性関係と人生に悩んだ挙句…(舟橋聖一著『薔薇射たれたり』)

『薔薇(ばら)射(う)たれたり』は昭和21(1946)年、雑誌『女性』に連載された作品である。恋敵の女性同士が電車で向かい合わせになるというような不自然な偶然がいくつか見られたり、語り手の「私」が途中からいなくなったりと、完成度を問題にしようと…

昔の日本人はオーロラをどう見たか。そもそも日本でそんなにオーロラが見えたなんて。

オーロラの日本史: 古典籍・古文書にみる記録 (ブックレット“書物をひらく”)作者:岩橋 清美,片岡 龍峰出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2019/03/15メディア: 単行本 日本の古い史書や日記には、オーロラを目撃したものと思われる記録が多数残っているという。…

スイーツの「歴史」の福袋、みたいな一冊

日本の食文化 6: 菓子と果物作者:出版社/メーカー: 吉川弘文館発売日: 2019/10/24メディア: 単行本 お菓子や果物は生存用の食糧というよりは、味覚を楽しむ嗜好品である。ではご先祖さまはいつから、どんな風に甘味を食するようになったのだろう。本書では、…

目立つ自己啓発本は電車に向かない。一人の空間で読むに限る。

7(セブン) 1週間のうち何日を特別な日にできるだろう?作者:ダン・ゼドラ,Dan Zadra出版社/メーカー: 海と月社発売日: 2014/11/28メディア: 単行本 ポジティブな言葉を自力で生産できないとき、人は本にそれを求めるのだろう。2019年12月のある夜、東京駅前の…

安藤哲也「男性の育休促進に向けて必要なこと」(『地方公務員月報』2019年11月号)を読んで思ったこと

1.地方公務員月報という月刊誌 『地方公務員月報』は、地方公務員制度の正しい理解と運用の指針を示す月刊誌である(総務省公務員課編)。想定読者は自治体の人事担当者だと思われる。自治体の取組みを応援しつつやんわり国の言うことを聞かせようとする姿…

富豪の人妻と年下でイケメンでマザコンな若い外車セールスマンの恋、どうなる?

【書評】若いセールスマンの戀 [著]舟橋聖一戦後間もない昭和29年頃、外車のセールスマンで23歳の雪雄は、同僚と共に赴いた得意先の資産家・滋本家の由香子夫人に一目ぼれする。主人が不在のため夫人を外車に乗せ、同僚の運転で試乗させる。屋敷に帰着後、…

「クリエイティビティ+鉄道愛」が生んだ刑法学の入門書、出現。

どこでも刑法 #総論作者: 和田俊憲出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2019/10/09メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る 【書評】『どこでも刑法#総論』[著]和田俊憲刑法学は「ある人が誰かの利益を害したとして、そこに犯罪が成立する…

【書評】スナックの言語学 距離感の調節[著]中田梓音

スナックの言語学: 距離感の調節作者: 中田梓音出版社/メーカー: 三元社発売日: 2019/10/11メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 研究者にしてスナック女子(スナ女)の著者が、スナックのママの「『痒いところに手が届く』接客の技術」を言語学の観…

【書評】南の島のよくカニ食う旧石器人[著]藤田祐樹

南の島のよくカニ食う旧石器人 (岩波科学ライブラリー)作者: 藤田祐樹出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2019/08/24メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 11月も中盤。国内旅行のパンフレットがカニツアー色の赤に染まる。秋の風物詩である。しかし、…

昭和陸軍きっての逸材、永田鉄山は令和の世にも本になる。さすが。

永田鉄山と昭和陸軍 (祥伝社新書)作者: 岩井秀一郎出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2019/07/01メディア: 新書この商品を含むブログを見る 【書評】永田鉄山と昭和陸軍[著]岩井秀一郎(2019年7月、祥伝社)昭和10(1935)年8月12日午前9時45分、東京は陸軍…

【書評】夏みかん酢つぱしいまさら純潔など(鈴木しづ子句集、小出蘭太評伝)

夏みかん酢つぱしいまさら純潔など (河出文庫)作者: 鈴木しづ子,川村蘭太出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2019/06/05メディア: 文庫この商品を含むブログを見る 失踪した伝説の女流俳人鈴木しづ子を追う2冊目の句集『指環』出版記念会から半年後の1952…

住職のための情報誌『月刊住職』を読んでみた

月刊住職 2019 9―寺院住職実務情報誌作者: 興山舎出版社/メーカー: 興山舎発売日: 2019/10/01メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 『月刊住職』は寺院住職のための情報誌である。仏教書に独特の難解さはなく、住職ではない私でも楽しめる。記事の本…

『バビル2世』再読② バビル2世の正義感はどこから来るのか

バビル2世 (2) (秋田文庫)作者: 横山光輝出版社/メーカー: 秋田書店発売日: 1994/10/01メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (2件) を見る 小学生の頃、将来の夢を答える場面で「世界征服」と回答する子がクラスに1人はいた。世界征服という言…

『バビル2世』再読

バビル2世 (1) (秋田文庫)作者: 横山光輝出版社/メーカー: 秋田書店発売日: 1994/10/01メディア: 文庫 クリック: 8回この商品を含むブログ (11件) を見る 人間が高い塔を作る不思議な夢を毎夜見るようになった少年、浩一。その夢は自分を長年待つ人物からの…

【書評】骨は語る 徳川将軍・大名家の人びと

骨は語る 徳川将軍・大名家の人びと作者: 鈴木尚出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 1985/12/01メディア: ハードカバー購入: 3人 クリック: 40回この商品を含むブログ (15件) を見る (鈴木尚著、1985年12月発行、東京大学出版会、221頁、5,000円+税)…

模造紙不安(もぞうしふあん)

今週のお題「わたしの自由研究」 模造紙不安(もぞうしふあん、英:simili paper anxiety)とは、小学生時代に課された夏休みの自由研究における失敗体験や劣等感が原因で、成人後も、自由研究の成果の記載によく用いられる「模造紙」に反応してストレスを感…

切なくも美しい怪談

今週のお題「残暑を乗り切る」 怪談 (英文版) ― KWAIDAN (タトルクラシックス )作者: ラフカディオハーン(小泉八雲),Lafcadio Hearn出版社/メーカー: チャールズ・イ・タトル出版発売日: 2004/10/01メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 2回この商…

「まさかりの懐妊、なーんだ?」「小野小町!」

【書評】中世なぞなぞ集 [編]鈴木棠三 (2019年7月重版(1985年5月初版)、岩波文庫、454頁、1,130円+税) 中世なぞなぞ集 (岩波文庫 黄 130-1)作者: 鈴木棠三出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1985/05/16メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 4回この商品…

「思考回路だけ身につけろ。そしたら集中力なんかパッコ~ンだ!」(本文より)

【書評】集中力のひみつ [著]伊藤丈恭(2018年4月刊、芸術新聞社、235頁、1,600円+税) 集中力のひみつ作者: 伊藤丈恭,村田善子出版社/メーカー: 芸術新聞社発売日: 2018/03/20メディア: 単行本この商品を含むブログを見る クリエイティブ部門への異動を…

ムダ毛と脱毛をめぐる人の営み

【書評】脱毛の歴史 ムダ毛をめぐる社会・性・文化 [著]レベッカ・M・ハージグ [訳]飯原裕美 脱毛の歴史作者: レベッカ・M・ハージグ,飯原 裕美出版社/メーカー: 東京堂出版発売日: 2019/07/11メディア: 単行本この商品を含むブログを見る (2019年7月…

忍者の、理想と現実と

【書評】忍者の精神 [著]山田雄司 (2019年5月、KADOKAWA、199頁、1,700円+税) 忍者の精神 (角川選書)作者: 山田雄司出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 2019/05/24メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 忍者は確かにいたらしい。しかし、黒ずくめ…