負け犬の読書灯 〜本はいい。無秩序にご紹介〜

今日か明日、書店に行きたくなる書評

2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

気球への乗船、あるいは男の名前の忘却【泥沼と気球2】

わたしは気球に乗ると決めた。あの男にはあなた以外の人と気球に乗るからと告げた。浜風のまだ暖かい夕暮れだった。誰かのクルーザーが波に揺られて上に下の動いていた。 あの男は動揺していた。早口で少しだけ何か言ったはず。そして徒歩で立ち去った。一度…